エピソード27:パイロットに必要な適性とは?こればっかりはダメという性格とは?

パイロット
トロポ
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パイロットとしてこれは致命的といえる性格って?

パイロットとしての適性って一般の生活では推し量れないんですよね。

車の運転ともちょっと違うわけで。

その正体はいったいなんなのか、私自身学生の時に疑問に思っていました。

だって適性、だったりその姿勢/性格はダメ!っていうのを理解していれば、

パイロットとしての資質を学生の時から少しづつ身につけていけるじゃないですか?

エアラインで飛ぶようになってから振り返る「短所となる性格」

今回はこういう人はエアラインパイロットに向いている!という切り口ではなく、

これは致命的と思われる短所や性格から考察してきます。

私は現役のエアラインパイロットとして日本で副操縦士としてフライトする段階まで来るのに、様々な「パイロット候補生」に接してきました。

その中にはフェイル(エリミネート)された人もいました。

(パイロットの世界には同じ試験に2度落ちるとパイロットとしての適性なしと見なされフェイルされる=もう飛ぶことができなくなる制度があります。フェイル・エリミネート制度などと呼ばれます。)

数々の出会い、訓練を通して性格について語ります。

イレギュラー時に頭が真っ白になるのはダメ

どんな状態でも何が起ころうともパイロットが真っ白になる。

これは絶対だめです。当たり前ですよね?

お客様そしてCAは基本的に旅客機の操縦はできません。そう、上空ではパイロットの代わりの人間はいません。

副操縦士だって隣の機長が急に体調不良になったりしたら副操縦士だけで判断を下し着陸まで持っていかなくてはなりません。

何があっても頭はしっかり、飛行機をコントロールしている状態を維持しなくてはなりません。

今回は頭が真っ白になる状態の定義を

「状況を認識できなく、何も考えられなくなる、打つ手が思いつかなくなる」

とします。

さて、頭が真っ白になる。
こういう状態を普段はなかなか経験できません。

誰しも経験できそうな例では…スポーツの試合で大ぽかをやったり、突然恋人から別れを告げられたり…ですかね。

いずれも10代くらいまでには経験してしまうので、たいてい20代以降は頭が真っ白になる経験をする人はそうそういないでしょう。

「経験」してしまえば人はそこから学習するので、また同じようなことが起こっても打つ手を思いつくことができたり、早く「自分を取り戻す」ことができます。

北海道の上空で文字通り真っ白になった話

私自身、頭が真っ白になることなんてまずなかったです。航空大学校に入るまでは笑

あれは北海道のとある空港(ここらへんは匿名のためぼかします)

から帯広空港に戻るためのフライトでした。

視程は8000m。視程と言われても一般の人には理解し辛いかも知れませんが8000mってちょっと上空3000ftとかに行くともう地上は薄っすらしか見えないんですよ。

当時はまだプロのライセンスを持っていないヒヨコも良いところでしたしね。

帯広空港までのフライトは地上の目印、湖や駅やわかりやすい地形部分などをポイントとして取り、それぞれのポイントからの距離や方位を予め調べておき、

その上を順番に飛行していくという方法で戻ります。(VFR NAVといいます)

当時私は最初の出発点(発動点といいます)を予めGoogle Eearthで調べた集落で取ってました。

で、いざ上空に上がると、似たような集落がポツポツあって「わからない」ってなるわけですね笑

しかもあまりにも無名の集落なので隣の教官や後ろの学生も「君はどこを発動点として選んだの??」状態、要は誰もどこから出発すればいいかわからない状態なんですよ。

トロポ
トロポの頭の中の声

教官からの「どうするんだ!?」の叱責、今飛んでいる飛行機のコントロール(速度は1kt 高度は1ftもズラさないこと)、周りを必死に見渡すももうそれらしい集落はいくつかあってどれか全然わからない。視程8000mでは遠くを見渡すことができなく、相対的な位置関係から出発点を見つけることができない。出発した空港に戻ったとして帯広空港までの燃料は大丈夫なのか?燃料がだめならどうするの?陸路で帰るのか?今飛んでて帯広までの燃料はあるのにそれは現実的なのか、いや現実的じゃないだろ。

トロポ
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「戻ります」も「進みます」も選択できない、でも飛行機は「止まらない」、「どうするんだ!?」の声。

書いていて恥ずかしい。

でもあれは頭が真っ白になってました、何も思い浮かばないんです。本当に。

打つ手がなくなる。

あの感覚は日常生活ではまずないですね。止まって考えて、必要な情報を調べることができる日常とは違います。

この件は結局、計器飛行の訓練に訓練内容を切り替えて(次のパイントのVORからの距離と方位は調べてあったのでそこに向かってトラックして)、計画した飛行経路に乗ることができました。

でも訓練内容をVFR NAVから計器飛行の訓練に変更するといういわば「ルール違反」の方法です。学生からはとても提案できません。

そもそもNAVの訓練を完遂できるようにしておけという話しですから。

今振り返ってもあの時の私では打つ手がなかった。

頭が真っ白にならないためには

答えは出ています。「前に経験したことがある」まずこれが一番です。

しかしフライトできる=訓練できる時間は限られており経験できる「数」には制限があります。

だから勉強して「知識」をつけておく、要は「引き出しの」数を増やしておくのが大事なんですよね。

打つ手がなくなる=引き出しがもうないってことですから。

パイロットの世界で情報共有の大切さを問われるのはこういうところから来ます。

貴重な失敗・経験談は皆の宝です。

誰かの失敗は同じ状態に遭遇した誰かを助けるのです。

パイロットの仕事の真価は想定外のことが起こった時に発揮される

パイロットは様々な緊急事態の訓練を行います。(それもかなりシビアな内容です)

基本的にはたいていの緊急事態には対処できます。(安心してください)

それでも天気や機械を相手にしているので、想定外のことが起こります。

 

プロのエアラインパイロットになればさすがに真っ白になることはもうないでしょう。

ただ

想定外の事態が発生したその時、引き出しの多さがその後の確実な判断に繋がるのです。

自分以外の誰か何かのせいにする人は何をやらせてもダメ

「知識」をつける、他人の経験を自分のものとする。

これが大事であることはわかって頂けたと思います。

ではそこから逆に考えてみます。どんな性格の人はダメなのか?

 

それは

「自分以外の何かのせいにする」

性格です。

「たまたま知らなかったから」「あいつが教えてくれてなかったから」「教官と性格が合わないから」「訓練同期が未熟で足をひっぱるから」

何かのせいにする性格の人は上記のように考えます。

自分自身を省みる視点がごっそり抜けてます。

 

今の私ならこう考えます。

自分自身でやれる限り事前に勉強していたのか?

みんなが気持ちよく経験を共有できるよう、自分からも経験を積極的に共有していたのか?

教官が教えたくなるような言動や態度、準備の仕方をしてきていたのか?

訓練同期が未熟なため自分の訓練にも影響あるならまずは訓練同期を助け、引き上げるのが早いのではないか?

 

「自分以外の何か」のせいにしても「何か」は自分ではコントロールできません。

でも「自分」はコントロールすることができます。

そして自分の行動を変えることで周りを変える、これには対人間におけるバランス感覚が必要なのです。

 

「自分以外の何かのせいにする」

こういう性格の人は結局何かのせいにし続けるだけで時間だけ経ちます。

そして対人間におけるバランス感覚が養われることもありません。

(エアラインで働くうえではそういう社会性やバランス感覚も求められます)

まとめ

パイロットの適性として致命的なのは、「自分以外の何かのせいにする性格」

長期的にみるとこの性格の人は人間的なバランス感覚も育たない。

 

できない、やれない理由は簡単に見つかるし口から出てくるんですよね。

フライトで万が一の緊急事態に陥った時、何かのせいにしても自分やお客様の命は助かりますか?

 

じゃあどうやったらできるようになるか、どうやったら安全に着陸できるのか。

自分には何ができるのか。

パイロットを目指される方々にもぜひ一度、自分の性格や考え方を振り返って頂きたいです。

 

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