
エピソード4で日本は世界的に見てかなり早くジェット旅客機を操縦できるということを書きました。
そして今の日本のパイロットリクルートシステムの中で最短で(=若くして)、
エアラインパイロットになれるのは、私立大学のパイロットコースであるということはどの訓練ソースの人も同じ意見だと思います。
最短23才でFO、副操縦士、コーパイロット(呼び方は何でも良いですが)、とりあえず早い人はその年で空を飛び始めます。
今回はその私立大学のパイロットコースを徹底的に比較します。
パイロット養成コースのある私立大学は全部で8つ。(うち1つはヘリパイのみ)
1.東海大学
2.法政大学
3.桜美林大学
4.崇城大学
5.千葉科学大学
6.第一工業大学
7.工学院大学(2019.4.から笑)
8.帝京大学(ヘリパイロットコースのみ)
今回はエアラインパイロットの考察なので帝京大学は省いていきます。
費用の比較

2019年4月から工学院大学もパイロット養成コースを開設するらしいです。
この大学は公式サイトによると、JCABのCPLとIRを取得するのに訓練費と学費4年分合わせて約2200万円。
その学費の話を聞いてこのブログをまとめようと思ったんですよね笑
資料は2013年ので少し古いですが桜美林以外の学費は今もこんなもんじゃないですか?
桜美林大学は2000万近く必要だったはずです。在学生の方、訂正があれば教えてくださいね。
いずれにしても1500万~2500万くらいの訓練費と学費がかかるわけですね。
学費に加えて生活費もかかるので一般的な私立大学と比較しても高額な投資になります。
就職先の比較
たぶん皆さん一番気になってるところでしょう。
ざっくり2014~2018年くらいにかけては就職率、かなり良かったです。
就職できる会社も大きく差はありません。
ただしANAとJALに関しては話が違ってきます。
まず東海大学はJALに入れません。その代わりANAに就職できる人数は他の私立大学よりも多いです。これはANAと提携しているからでしょう。
2020年4月現在、大手エアラインANAとJAL両方への道があるのは、法政、桜美林、崇城の3つです。
(他の私立大学も将来的にANA×JAL本体へ行ける可能性はあります。が、いつそれが実現するかは誰も約束はできません)
メリット/デメリット
まずはデメリット、パイロットの道に固定、高額な費用
大手航空会社(ANA×JAL)に行ける人は1校あたり各社1人ずつ、計2人くらい。
ただ東海大学からANAはそこそこの人数が行きます。(10人満たないくらい)
もし私立大学のパイロット養成コースに入って、訓練を受けてみてやっぱりパイロットは自分には向いていないとなった場合はそれまでの高額な費用や時間が無駄になってしまいます。
訓練に費やしていた時間は、他のことにチャレンジできたはずの時間でした。
機会損失です。
また、パイロットのライセンスはなんとか全て取得したものの、エアラインに就職できなかった場合は他の職を探すか起業するかですよね。
起業できるのは特殊なのでここでは置いておき、例えばじゃあ三菱商事に就職したいと思っても実質無理です。
(それを成し遂げたなら、大学の伝説になれると思います笑 その時はお祝いさせてください笑)
航空系以外の日系・外資系大手に行こうと思うなら、さらにまたパイロットの世界とは違うルールの競争が待っています。
面接では
「なぜ大学でライセンス取ったのに、エアラインに行かないんですか?」
こう聞かれます。
面接官を納得させる話がそこでできるでしょうか。
自分次第ですが…
それから、有名な企業では学歴フィルターでそもそも落とされてしまうことがあります。
メリット
最速でエアラインパイロットになれることです。
この仕事は私自身いい仕事だなと思えますし笑
会社は関係ない!エアラインパイロットになりたい!って人には私立大学パイロットコースは夢実現の可能性がかなり高いです。
大学によっては海外のエアラインパイロットの卵と友達になれます。(海外の訓練所には色々な国のパイロット候補が来ている)
経済的には、例えば自社養成よりも2~3年は早く(院卒と比べると4~5年早く)パイロットになれます。
つまり人生でキャプテンとしてフライトできる期間が2~5年長くなります。
2年だと微妙ですが、5年分の給料の差はだいたいの日本の航空会社であれば高額な私立の訓練費を帳消しにできると思います。
ANAやJALのような大手なら確実にペイするでしょう。
周りの私立大学パイロットコース卒のエアラインパイロットからの口コミ
- 訓練は楽しかった(航空大学校組、涙を拭こう)
- 奨学金借りて、会社に入ってから返す人は返済に10年近くかけることも
- 他の一般大からパイロットコースに転入してきて、大手のANAやJALに就職できた人もいる
まとめ
大手かどうかに関係なく、パイロットに絶対なりたい、お金は大丈夫!なんとかする/なんとかなる、という人なら大いに私立大学ありじゃないかなと思いました。
んー実際お金の問題は大きいですよね、
私自身も私立のパイロットコースを受けなかったのはお金が大きかったので。
お金やリスクの問題を飲み込むのに結局大事なのは
「パイロットになりたい」という内から湧く強いモチベーションです。ね!
皆さんのGood Decisionの参考になりますことを!!

Twitterやってます!
コメント
会社入ってからのフェイル率が大学毎にあれば訓練の質が明らかになるような笑
酷いところは酷いですもんね〜。
大変参考になりました。特に大学の連携による就職先の幅のところ。
さて、各大学の難易度・偏差値はどの程度なのでしょうか?
勿論、身体的検査等ありますが、学力面においてです。
かなり狭い世界であり、各予備校の偏差値以上に実質的には難易度高いと聞いたことがあります。
Tomcatさん
どのソースの人がどこでFailしたのか、知ってはいますが、
私の感想としてはその人の人間性や他のパイロット候補生達との協力の仕方の方が大きいと思っています。
大学の訓練環境も関係あるとは思いますがもっと幼いときからの、その人間性を培ってきたところが大事な気がします。
とおさん
GMARCHくらいの学力あれば大丈夫なようです。中には早慶合格してるけど、パイロットコースを選んだ、という人もいるので入学してからバラツキを感じるかもしれません。
はじめまして。
航空大学校に入ることを考えている、私立高校2年生です。
自分は、金銭的な費用を最大限に抑えたいと考えており、航空大学校に入るまでの進路として考えているのは、
①私立大学などに比べ、費用のかからない国立大学に入学(確実に入学する為に、航空とは関係ない学科でも、偏差値の低めの学科、コースを受験)
②卒業までの4年間、航空大学校1次試験の対策、「航空特殊無線技士」と、その上位である「航空無線通信士」の取得
③卒業後最初の航空大の試験に志願し、受験
といったおおまかな流れを考えているのですが、この進路にトロポさんからこうしたほうがいい、などのアドバイスがあれば是非教えいただきたいです。
ちなみに最終的にはJALのパイロットに就職したいと考えています。
また、もしこの進路の場合は大学を卒業し、もちろん単位もしっかりととる予定であるので、2次試験に落ちた場合の航空大学校の再受験必要条件である、
「学校教育法による修業年限4年以上の大学に2年以上在学し、全修得単位数が62単位以上の者」
という条件は満たしているので、
再受験は可能であると思います。
なので、次年度の再受験までにどのような生活をして試験を迎えれば良いのか。というアドバイスも頂きたいです。
例えば、安い賃貸でアルバイトをしながら再び試験対策をする
などです。
長くなりましたが、トロポさんのブログは本当に参考にさせてもらっているので、是非お聞きしたいです。
よろしくお願いします。
①国立大学に行ってください。なるべくレベルの高いところor都会の国立に行きましょう。②大学1年目の夏に航空無線通信士を取得してください。そんなに難しくないですし高校時代の知識が生かせるのでとっとと取りましょう。無線技士は受ける必要がありません。③大学2年生ですぐに航空大学校を受けましょう。
それから今からずーっと英語を頑張り続けてください。航空大学校や自社養成パイロットを受験する前にTOEIC満点くらいは取っておいてください。
大学に入ったらバイトは社会経験を積む程度で良いと思います。賃貸は安いので大丈夫。シェアハウスでも良いでしょう。上記のスケジュールをこなそうと思うとずっと忙しいですよ!そんな中でも彼女は作っといてください。女の子の扱いには慣れておきましょう。
余裕があれば小さくても良いので組織をマネジメントする経験や。海外に1人で貧乏旅行してください。
高校生なら準備期間がたっぷりという強みがあります。これを生かさない手はありません。走り続けてくださいね。
なるほどありがとうございます!
大学の学部は自分の好きな学部や、偏差値的に入りやすい学部でいいのでしょうか?それとも、英語の力を強くするため、英語科などの学部が好ましいでしょうか?
また、都会の大学がいい理由は何でしょうか?自社養成が受けやすいからでしょうか?
また、自社養成は大学卒業をしないと受けられないので、2、3年生の2年間は航空大学校の試験だけを受けるということですね?
また、おすすめの大学を教えて頂きたいです!
現在は東京都立大学が偏差値的にも知名度的にも可能性があると感じるのですが、どうでしょうか?
おすすめ大学と、その大学の学部を教えて頂きたいです。参考にしたいと思います。
地方でも都会でもなるべく入るのが難しい大学に行ってください。そこに至るまでに学んだことや努力がパイロットになる時に生きます。
学部は自分が興味がある勉強する意欲のわく学部が良いです。都会の大学でなくとももちろん良いのですが都会を進めるのは「負荷」がかかるからです。都会にいけば自分よりも恵まれていたり、能力が優れていたり、努力家、チャレンジャーがたくさんいます。そういう人との出会いは刺激を受ける以上にあなたをへこませると思います。でもその負荷をバネに頑張ることができます。意欲はお金では買えません。
大学2~3年生は航空大学校を受験するのみです。
①国立大学に行ってください。なるべくレベルの高いところor都会の国立に行きましょう。東京や大阪ですね。②大学1年目の夏に航空無線通信士を取得してください。そんなに難しくないですし高校時代の知識が生かせるのでとっとと取りましょう。無線技士は受ける必要がありません。③大学2年生ですぐに航空大学校を受けましょう。
それから今からずーっと英語を頑張り続けてください。航空大学校や自社養成パイロットを受験する前にTOEIC満点くらいは取っておいてください。
大学に入ったらバイトは社会経験を積む程度で良いと思います。賃貸は安いので大丈夫。シェアハウスでも良いでしょう。上記のスケジュールをこなそうと思うとずっと忙しいですよ!そんな中でも彼女は作っといてください。女の子の扱いには慣れておきましょう。
余裕があれば小さくても良いので組織をマネジメントする経験や。海外に1人で貧乏旅行してください。
高校生なら準備期間がたっぷりという強みがあります。これを生かさない手はありません。走り続けてくださいね。